#20 新型コロナウイルス感染拡大防止に関する一考察(その2)

政府から新たな方針が出され、次のフェーズに入りましたので、状況を整理してみようと思います。
主な動きとしては、3月19日、政府が設置している 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が、現状の状況分析を行い、分析した結果をまとめた「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」を公表しました。
これによると、日本国内の感染状況については、引き続き持ちこたえていますが、一部の地域では感染拡大が見られ、今後地域において、感染源(リンク)が分からない患者数が継続的に増加し、こうした地域が全国に拡大すれば、どこかの地域を発端として、爆発的な感染拡大を伴う大規模流行につながりかねないと考えているとしています。また、現時点では、社会・経済機能への影響を最小限としながら、感染拡大防止の効果を最大限にするという、これまでの方針を続けていく必要があり、「1.クラスター(集団)の早期発見・早期対応」、「2.患者の早期診断・重症者への集中治療の充実と医療提供体制の確保」、「3.市民の行動変容」という3本柱の基本戦略を、さらに維持、必要に応じて強化し、速やかに行わなければならないとしています。政府及び地方公共団体への提言、市民と事業者の方々へのお願いしたいことも併せて公表しています。

そもそも、先の学校一斉休業要請は、感染拡大のピークを後ろにずらすことと、規模を抑えることを目的として、瀬戸際の2週間を乗り切るためのものでした。これに関しては、一定の成果を上げたものと評価してよいでしょう。これを受けて、今後長期的なこの感染症との戦いを考えると、感染が抑えられている地域については、十分な医療体制の整備を図りつつ、少しずつ経済を動かしていく、とうフェーズに入ったと考えるのが妥当だと思います。

ここで問題となるのが、十分な医療体制の整備です。
そのポイントを整理してみます。
・検査体制の拡充
・医療機関の受け入れ準備
・治療薬の準備
・ワクチンの開発
・人や物資、お金の手配
などが挙げられるでしょうか。
検査体制については、全然だめですね。報道によれば、医師が必要と判断しているものを保健所が断ったケースが290件。こんなのは、優先順位を整理しつつ、時間をかけてでも必要な検査をすべて実施するべきですし、諸外国の事例を厚労省は素直に学ぶべきです。群馬県内では、県が公表している感染者の情報を見ると、すべての感染者の検査が県衛生環境研究所で行われており、他に少なくとも西毛、東毛、北毛それぞれに検査機関が欲しいところです。
医療機関の受け入れ準備はどうでしょうか。
過日、群馬県内では、帰国者・接触者外来となる16の医療機関にマスクを配布したとの報道がありましたので、それなりに受け入れ態勢が整いつつあるようで、16の機関が平均で5~10名ぐらいずつ受け入れると考えると100名以上の感染者が出ても対応が可能ということになりそうです。あとは、動線の問題がありますので、発熱外来の設置準備がどうか、というのが課題となりそうです。
治療薬に関しては、すでにアビガンやラピアクタなどの新型インフルエンザ治療薬、HIV治療薬など、臨床例も含めて有効性のある既存薬が報告されていますから、保険適用などを厚労省が柔軟にやればOKですね。
ワクチンの開発は、長い目でみていく必要がありますね。
人や物資、お金の手配、これはほとんど手が回っていないのではないでしょうか。人、というのは検査や治療のスタッフの増員です。有資格のOB・OGを広く集めて体制の強化を図る必要があります。物資に関しては、マスク、消毒薬、フェースガード、防護服、人工呼吸器など、不足するものに関しての増産体制を整えるべく、他国に学ばなければいけないと思います。お金の問題も、補正予算を組むのか、成立した予算の中で、緊急性の低いものを先送りしてこのコロナ対策に回せるものを検討するか、具体的な議論が急がれるところです。

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